慢性歯周炎を有する下顎左側第一大臼歯歯根破折患者に対して、歯周病治療を行なった上でインプラントにて補綴を行なった症例
症例
左下の奥歯が噛むと痛い
診断
慢性歯周炎 広汎性 ステージⅡ グレードB
下顎左側第一大臼歯 歯根破折
口腔写真
Before
After
Before
After
Before
After
Before
After
治療ポイント
左下の咬んだ際の痛みを訴え来院された患者様です。検査の結果、下顎左側第一大臼歯は歯根破折により保存困難となりました。抜歯となった部位は患者様のご希望でインプラントによる補綴を行うこととなりました。
インプラント治療を行うにあたり、歯周病がコントロールされていることは非常に重要となります。初診時のレントゲンでも縁下歯石の付着を認めたため、抜歯後の骨の治癒期間に歯科衛生士と徹底的に口腔内の清掃に励んでいただき、歯周病がコントロールできた状態でインプラント治療を開始しました。プロビジョナルレストレーションを装着し、インプラント周囲のプラークコントロールが十分可能であることを確認した上で、最終補綴へ移行しました。
歯周病のある状態でのインプラント治療や、清掃のしにくいインプラント治療は、インプラント周囲炎を引き起こす危険性が高く、インプラントの予後を悪くします。当院では、不容易なインプラント治療は行わず、徹底的な歯周病のコントロールをおこなった上でインプラント治療を進めています。
歯周病のある状態でのインプラント治療や、清掃のしにくいインプラント治療は、インプラント周囲炎を引き起こす危険性が高く、インプラントの予後を悪くします。当院では、不容易なインプラント治療は行わず、徹底的な歯周病のコントロールをおこなった上でインプラント治療を進めています。
この症例に使用した装置と費用
インプラントによる補綴 | 約 605,000 円(税込) |
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治療に伴う一般的なリスク・副作用
- 【セラミッククラウン】
・当院ではe.maxとジルコニアを症例に応じて使い分けています。
・e.maxはジルコニアと比較して予期せずチップ・脱離することがあります。
・ジルコニアはe.maxと比較して色調を合わせにくい欠点があります。
・ジルコニアの土台に陶器(セラミック)を焼き付けて色調整等を行う場合(レイヤリング)は、ジルコニア単体の場合に比べて表面の陶器が割れやすいケースがあります。
・神経のある歯を削る場合は神経へダメージを与える可能性があるため、削った後に痛みが出ることもあります。若年者の場合は特に注意が必要です。
・噛み合わせが悪い場合や歯ぎしりがある場合は装着している補綴物が欠ける可能性があります。
・神経の治療をされた歯に対して補綴物を装着する場合で、加重に負担がかかるケースにおいて歯根破折につながる可能性があります。 - 【インプラント周囲炎】
・インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲に細菌が感染し、インプラントを支えている骨が溶ける病気です。
・インプラント周囲炎の治療のためには、手術が必要です。手術後1週間程度疼痛が出現する可能性があります。
・インプラント周囲炎のオペ後、インプラントの金属部分が歯茎の上に露出します。
・インプラント周囲炎のオペ後、骨吸収が改善しないこともあり、その場合インプラントの撤去が必要になる場合があります。
・インプラント周囲炎のオペ後も、ご自身でのセルフケアが必須になります。 - 【インプラント】
・インプラント治療は骨に埋め込む外科処置です。顎の骨が薄い、骨が弱い方はインプラント治療ができないこともあります。
・インプラントのオペ後、唇、舌、頬、歯肉の感覚麻痺が一時的に引き起こされる場合があります。また、近接する歯牙、顎、上顎洞、鼻腔に対しての炎症、疼痛、過敏症、組織治癒の遅延及び顔面部の内出血(紫斑や黄斑など)が手術の成功においても稀におられる場合があります。手術後、3~4日目になると腫れを抑えるお薬の効果が減退するため、術部が腫れてくることがございますが、大抵の場合、1週間程度で腫れは収まってくることがほとんどです。
・歯や骨の状態によって、手術内容を変更することがあります。
・手術中に、予定していた骨の量が足りない場合には、追加の骨造成が必要になる場合があります。 ・喫煙、飲酒は治療結果に影響を与えます。手術前後1週間はお控えください。
・インプラントを長期的に安定させるためには、口腔衛生状態(喫煙の有無、喫煙者の協力度、咬合力、咬み合わせ、骨量、歯肉量、歯磨き、メンテナンス)の維持が必要になります。
・まれにインプラントの手技にかかわらず、インプラントが骨につかない現象が起きる場合があります。